銀河鉄道の夜 ①
好きだった銀杏BOYZの曲をあまり聴かなくなってから、だいぶ月日が経っていた。
銀杏BOYZといえば、イケてないメンズの純水なマインドを歌った青春パンク。そんな銀杏BOYZを聴かなくなったこと、これは私にとっては少々問題であった。
昨日、はじめての合コンに行った。
夕方、着物屋さんに足を運び着付け教室を終えた後、ギャルの幼馴染と三越前で待ち合わせのため、広瀬通の方へと足を運んだ。
茶色の長い髪の毛をハーフアップにまとめ、昔から変わってない綺麗な髪質のギャルの幼馴染とは中学からの仲であった。このギャルの幼馴染の他にもつるんでいた仲間たちがいて、私たちは全くイケてなかったが、おてんばだったため、当時のハジけていた記憶を思い出して話しては面白くてゲラゲラと笑ってしまう。バスケ部の当時のいじめっ子グループとよく対峙していたこと、キャミソールのまま川で遊んでいたこと、すべてがキラキラした思い出となっている。私たちはあの時代が大好きだった。彼女もわたしも根の性格は昔と何も変わっていない。
合コンだなんて、幻だと思っていた。
どうしても、合コンという響きには抵抗感を持ってしまうのはさておき、人生経験だろうと思って誘いに乗る。
早めについてしまったため、むかえのツルハドラッグを見ていた。38度リップと明るいサーモンピンクのネイルを購入。
我ながら、自分もあざとさをわきまえた女であることを自覚して嫌気がさす。しかもこの後、いちおう合コンだしさすがにお化粧しなきゃな、と思いさらに口紅を濃くしておく。
なんだか、仙台に染まっているような気がしてきた。仙台は東京に比べたら田舎だけど、わたしにとっては充分な都会である。仙台の人に、「都会だよ」と言うと、「仙台なんか田舎だよ」と言い返されるのはしょっちゅうである。
まだ時間があったために、ジブリのショップに足を運んだ。昔からのジブリのグッズが好きでよく買っていた。やっぱりかわいいなと思って、エルフとドワーフのメタルカードケースを眺める。耳をすませばグッズはデザインが素敵なものが多いのだ。こういった細々したデザインのかわいいものが好きだ。
心はスタジオジブリに心揺らしていた頃と変わっていないことに安心を覚える。大丈夫、わたしはまだ芋マインドを忘れてはいない。
ただわたしは、好きになった人とバロンとルイーゼのオルゴールを交換してお互いの家に飾りたいだけ。お互いの夢を応援したいだけ。夢で会えたら良いなと思うだけ。ソフトクリームを一緒に食べたいだけ。海を一緒に眺めていたいだけだ。
この後、ブランドの口紅を手にしたとしても、服装の系統が変わって行ったとしても、合コンにどれだけ行ったとしても、心は芋のままでありたいと決意をしたのであった。
僕は今空の向こう
飛び立ってしまいたい
あなたを思いながら